よりどりみどり京都府下の地酒が飲み放題
【KYOTO SAKE GARDEN】京都府京都市中京区
「京都の地酒が飲み放題で3,240円、おつまみ持ち込みOKという居酒屋がある」。友達がSNSに書いたひと言に反応して、即座に集結した女性6名。場所は京都の繁華街・三条河原町からすぐの路地。ビルの地下にある小さな店が「KYOTO SAKE GARDEN」だ。
16席ほどの小さな店。料金は前払い。わくわくしながら席に着くと、マスターの説明が始まる。冷蔵庫の酒を自分で注いで自由に飲んでいいこと、燗は自分で専用の器具で好みの温度にすること、飲んだ日本酒の1.5倍の和らぎ水を飲むこと、飲み過ぎないこと。
料理のメニューは、おでん、サラダなどなど、いろいろあるけれど、「チキンは近所の店から。カレーうどんとカクテルはビルの上階のバーに買いに行けます。美味しいですよ」。なんというご近所仲良しネットワーク。京都の花街では、昔から仕出しシステムがあるとはいえ、買い出し自由とは。「その方が楽しいじゃないですか」とマスター。Tシャツの背中に欠かれた「記憶無」というワードに、過去の失敗話で盛り上がる。いいのかなぁ、こんなに自由すぎて。
好きなお猪口を選んで一升瓶から注ぐ。まずは大手酒造メーカー月桂冠の京山水 純米、市場にあまり流通していないものらしい。地酒ブームになると大手より小規模の蔵のものがもてはやされるが、大手の技術力はさすが。米の旨みを感じられる見事な味わいだ。城陽市の城陽酒造、街なかにある佐々木酒造のもの、次々に味わってみる。
するとマスターが、冷蔵庫から何本かの酒瓶を取り出し、飲み比べにちょうどいい酒を解説してくれた。丹後の酒が多かったように思うが、同行のレディースに聞いても誰も覚えていない。少しずつどれだけ飲んだことだろう。一つ印象に残っているのは、向井酒造の伊根満開。赤米を使った古酒を燗にすると、その温かさと酸味がなんともいえない。ロゼワインのような色も素敵だ。この色を見て、素早くガラスの酒器に取り換えたのは同業の女子。さすがだ。
おでんは出汁の風味が良い、酒盗とポテトサラダも酒に合う。もっといろんな料理を食べてみたかったが、じつは私たちは大きな勘違いをしていた。おつまみを持ち込まないといけないと思い込んでいたのだ。6人それぞれが手分けしてお惣菜から乾き物まで持参したからテーブルはいっぱい。持ち込まなくても、料理も缶詰もたくさんあるではないか。「マスターごめん、次はちゃんと料理を食べるからね」と、4時間も大騒ぎした非礼を詫びて店をあとにした。
◆ MENU 【価格は税込み】
酒飲み放題3,240円
缶詰200円~
おでん六種盛り合せ500円
酒盗とポテトサラダ300円
◆ Data
KYOTO SAKE GARDEN(キョウト・サケ・ガーデン)
電話:075-254-7678
住所:京都市中京区河原町三条上ル恵比須町442-1 ル・シゼームビル B1F
営業:18:00~22:00
休み:不定休
◆ Writing / 松田きこ
(株)ウエストプラン代表。兵庫県西宮市在住。食・観光・人物取材に日本中を飛び回る。ライター歴20年以上。編著書「神戸・阪神間 美味しい酒場」「くるり西宮・芦屋・東灘・灘」「くるり丹波・篠山」他
http://www.west-plan.com/